給与計算は社労士に任せている——多くの会社がそうです。でも、それは「正確に払う」までの“守り”で終わっていませんか。会社で最も大きなコストである人件費を、売上や粗利と結びつけずに決めているなら、一番大きなお金を“成り行き”で動かしているのと同じです。毎月の給与計算に眠る数字を、賞与・昇給の判断に活かす「攻めの人件費経営」の考え方をご紹介します。
賞与や昇給を、「前年並み」「なんとなく」「他社もこのくらいだから」で決めていないでしょうか。あるいは、営業の歩合を担当者ごとに手計算していて、毎回金額がブレる。頑張った人にもそうでない人にも、同じように昇給している——。
これらはすべて、会社で一番大きなお金を、根拠のない感覚で動かしている状態です。給与計算という“守り”はできているのに、その数字を経営に活かす“攻め”がない。だから、好調な年も社員に十分報いられず、不調な年も人件費を下げられずに利益を圧迫するという、両方向のもったいなさが生まれます。
賞与・昇給を売上・粗利と切り離して決めていると、次のような「見えにくい損」が積み上がります。
私たちが実際に人件費診断を行うと、給与計算は社労士がきちんと回しているのに、賞与だけは営業の歩合が毎回手計算でブレていた、賞与の月に単月赤字が出ていたのに前もって手当てされていなかった、一部の社員が最低賃金の水準を下回りかけていることに誰も気づいていなかった——といった例に、決して珍しくなく出会います。いずれも、数字はすでに社内にあるのに、それが経営に戻ってきていないことが原因です。
賞与・昇給を業績と結びつけるには、①毎月の給与データ ②会社の利益構造(売上・粗利) ③労働法・社会保険のルール——この3つを同時に扱う必要があります。給与計算を回している社労士は、①と③をすでに握っています。ここに②を重ねれば、制度づくりから、労働法の適法性、さらに使える助成金まで、一気通貫で設計できます。
A. はい。今回のご相談は「給与計算そのもの」ではなく、賞与・昇給を売上・粗利と結びつける“設計”の部分です。顧問先の変更を前提とせず、制度づくりや人件費の可視化(人件費成績表)だけのご依頼も承ります。現在の給与データをお預かりできれば、現状の見える化から始められます。
A. 設計次第です。ポイントは「下げる」より「頑張りが正しく反映される」を主役にすること。基本給という生活の土台は守りつつ、上振れは賞与で厚く報いる形にすれば、納得感はむしろ高まります。下げる方向の調整は不利益変更に配慮しながら慎重に進めます。
A. 制度の定め方や個別の事情によります。あらかじめ賞与を「業績連動」と規程で明確にしておくかどうかで、取り扱いが変わります。これは就業規則・賃金規程の整備と一体で設計すべき論点なので、個別にご相談ください。
A. 最初の一歩は、自社の人件費が業績に対してどの水準にあるかを数字で把握することです。「社長のための人件費成績表(198,000円)」で人件費率・労働分配率・賞与や昇給の現状を見える化すると、判断材料が揃います。そのうえで、無理のない結びつけ方をご一緒に検討します。人件費を“投資”として捉え直す全体像は人件費は“コスト”ではなく“投資”もご参照ください。