キャリアアップ助成金の重点支援対象者とは|a・b・cの判定と受給額
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、有期雇用の社員を正社員に転換すると、中小企業で1人あたり最大80万円を受け取れる制度です。ただし80万円になるのは、転換する人が「重点支援対象者」に当たる場合だけ。当たらなければ40万円です。
本記事では、重点支援対象者のa・b・cの3つの区分と、判定のときに間違えやすい点を、令和8年度の支給要件にもとづいて社会保険労務士が整理します。制度全体と受給額の試算はキャリアアップ助成金 正社員化コース 令和8年度版のページでできます。
- ✓重点支援対象者なら有期→正規で80万円(40万円×2期)、該当しなければ40万円(1期のみ)(中小企業)。
- ✓区分は3つ。a=雇入れ3年以上の有期、b=3年未満で正社員経験が少ない人、c=派遣・ひとり親・特定の訓練修了者。
- ✓区分bは、本人が記入する確認票(様式1-5)の原本が必要。新規学卒者は対象外。
- ✓キャリアアップ計画書の提出と就業規則の整備は、転換日の前日まで。判定より先に、順番を守ることが前提。
重点支援対象者とは(受給額が2倍になる区分)
令和7年4月の改正から、正社員化コースの支給額は、転換する人が重点支援対象者に当たるかどうかで変わるようになりました。令和8年度もこの仕組みは変わっていません。
| 転換のパターン(中小企業) | 重点支援対象者 | それ以外 |
|---|---|---|
| 有期雇用 → 正社員 | 80万円(40万円×2期) | 40万円(1期のみ) |
| 無期雇用 → 正社員 | 40万円(20万円×2期) | 20万円(1期のみ) |
第1期は転換後6か月分の賃金を支払ったところで申請し、第2期はさらに6か月後に申請します。第2期を申請できるのは重点支援対象者だけで、第1期より賃金を合理的な理由なく下げていないことが条件です。大企業の場合は、重点支援対象者で60万円・30万円、それ以外で30万円・15万円です。
区分a:雇入れから3年以上の有期雇用労働者
雇入れの日から3年以上たっている有期雇用労働者が区分aです。契約社員やパートとして長く働いてきた人を正社員にする、もっとも典型的なケースです。
区分b:雇入れ3年未満で、正社員経験が少ない人
雇入れから3年未満の有期雇用労働者でも、次の両方に当てはまれば区分bになります。
新規学卒者は区分bから外れます。また、区分bに当てはまることを確認するため、本人が記入する確認票(様式1-5)の原本が必要です。前職の経歴は会社の書類だけでは確認できないため、転換前に本人に記入してもらっておきます。
区分c:派遣・ひとり親・訓練修了者
区分cは、次のいずれかに当たる人です。
| 区分c | 内容 |
|---|---|
| 派遣労働者 | 派遣先の会社が、派遣されてきた人を正社員として直接雇い入れる場合 |
| ひとり親 | 母子家庭の母等、または父子家庭の父 |
| 特定の訓練の修了者 | 人材開発支援助成金の人材育成支援コース・事業展開等リスキリング支援コース・人への投資促進コースの対象となる訓練を修了した人 |
ケースで確認する判定例
よくある4つのケースで、判定の考え方を確認します(いずれも中小企業、有期→正社員への転換の場合)。
| ケース | 判定 | 受給額 |
|---|---|---|
| パートとして入社して4年目の従業員 | 雇入れ3年以上の有期 → 区分a | 80万円 |
| 入社1年半の契約社員。前職は正社員を6年間勤め、2年前に退職 | 直近5年の正社員期間が1年を超える → 区分bに当たらない | 40万円 |
| 入社1年の契約社員。直近5年は正社員経験なし(新卒ではない) | 3年未満・正社員経験の条件を満たす → 区分b(様式1-5が必要) | 80万円 |
| 契約更新で通算6年目の嘱託社員 | 通算5年超で無期とみなす → 区分aに当たらない | 無期→正社員として判定 |
判定に迷う場合は、雇入れ日、契約期間の履歴、前職の雇用形態と期間を、転換前にそろえておくとスムーズです。
判定で失敗しないための注意点
重点支援対象者に当たるかどうかで、受給額は2倍変わります。区分aは雇入れ3年以上の有期、区分bは3年未満で正社員経験が少ない人(様式1-5が必要)、区分cは派遣・ひとり親・特定の訓練修了者です。判定は転換前に行い、計画書の提出と就業規則の整備を先に済ませておくことが、受給の前提になります。
転換を予定している方の雇入れ日・契約履歴・前職の経歴から、区分の判定と受給額を確認します。計画書の提出や就業規則の整備も、転換日から逆算してご一緒します。初回相談は無料です。
※本記事は厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」(令和8年4月8日現在)にもとづく一般的な情報です(2026年9月時点)。実際の支給可否は管轄の労働局が判断します。制度は改正されることがあるため、申請前に最新の支給要領をご確認ください。