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2026.06.24 社会保険・年金

算定基礎届(社会保険の定時決定)令和8年度版|書き方と7月10日締切を社労士が解説

COLUMN / 社会保険・年金

7月になると、毎年やってくるのが算定基礎届です。正式には「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」。これは、4月・5月・6月に支払った給与をもとに、その年9月からの社会保険料の“もと”になる金額(標準報酬月額)を決め直す手続きで、これを定時決定と呼びます。同じ7月10日が締切の「労働保険の年度更新」とよく混同されますが、こちらは社会保険(健康保険・厚生年金)の手続きです。

令和8年度(2026年度)の提出期間は2026年7月1日(水)から7月10日(金)まで。1年間の保険料を左右する大切な手続きなので、対象者・報酬の数え方・つまずきやすいポイントを、社会保険労務士の視点で整理します。

この記事の要点
  • 算定基礎届は、4〜6月に支払った報酬の平均から標準報酬月額を決め直す手続き(定時決定)。決まった額はその年9月〜翌年8月の保険料に反映される。
  • 令和8年度の提出期間は2026年7月1日〜7月10日。対象は原則として7月1日時点の全被保険者(70歳以上被用者を含む)。
  • 平均に使うのは支払基礎日数17日以上の月だけ。残業手当・通勤手当・現物給与も報酬に含む。年3回以下の賞与は含まない。
  • 標準報酬月額は保険料と将来の年金額の両方に直結する。残業の多い4〜6月に決まる点や、随時改定との違いに注意。
目次
  1. 00算定基礎届とは(定時決定のしくみ)
  2. 01対象者と提出期間(令和8年度=7月1日〜10日)
  3. 02標準報酬月額の決め方(17日ルールと報酬の範囲)
  4. 03随時改定・育休後改定との違い
  5. 04つまずきやすい4つのポイント
  6. 05提出方法と、社労士に任せるという選択

算定基礎届とは(定時決定のしくみ)

社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は、毎月の給与額そのものに料率を掛けて計算しているわけではありません。給与をいくつかの幅(等級)に区切った「標準報酬月額」という金額に当てはめ、それに料率を掛けて計算します。この標準報酬月額を、実態に合わせて年に一度見直すのが定時決定であり、そのために提出するのが算定基礎届です。

具体的には、4月・5月・6月に支払った報酬の平均額をもとに標準報酬月額を決め、それがその年の9月から翌年8月までの保険料に適用されます。入社時に決めた額や昨年の額をそのまま使い続けるのではなく、毎年一度リセットして実態に合わせる――これが定時決定の基本的な考え方です。

STEP 1
4〜6月の報酬
支払基礎日数17日以上の月で平均
STEP 2
標準報酬月額を決定
等級表に当てはめる
STEP 3
9月〜翌8月に適用
毎月の保険料に反映

標準報酬月額は保険料だけでなく、将来受け取る厚生年金の額や、病気・ケガで働けないときの傷病手当金、出産時の出産手当金の計算にも使われます。「保険料を下げたいから低く」とも、「年金を増やしたいから高く」とも一概に言えない、会社と従業員の双方にかかわる重要な数字なのです。

対象者と提出期間(令和8年度=7月1日〜10日)

令和8年度(2026年度)の提出期間は2026年7月1日(水)から7月10日(金)までです。対象は、原則として7月1日時点で在籍するすべての被保険者。70歳以上で厚生年金の被保険者ではなくなった方も、「70歳以上被用者算定基礎届」として対象になります。

一方、次に当てはまる人は、その年の算定基礎届の対象から外れます(または別の手続きで決定されます)。

こういう人は対象外(別扱い) 理由
6月1日以降に資格取得した人 入社時に決めた標準報酬月額が翌年8月まで有効なため。
6月30日以前に退職した人 7月1日時点で被保険者ではないため。
7月・8月・9月に随時改定(月額変更)が行われる人 そちらの改定が優先されるため。
同じ7月10日でも別の手続き
労働保険の年度更新(労災・雇用保険の保険料)と、社会保険の算定基礎届は、締切が同じ7月10日でも提出先も対象も別です。年度更新は労働局・労働基準監督署、算定基礎届は年金事務所(または健康保険組合)。2つを混同しないよう、あわせて労働保険の年度更新の記事もご確認ください。

標準報酬月額の決め方(17日ルールと報酬の範囲)

平均額の計算には、すべての月を使うわけではありません。その月の「支払基礎日数」が17日以上ある月だけを対象に平均します。支払基礎日数とは、給与計算の対象となった日数のことです(月給制なら原則として暦日数、日給・時給制なら出勤日数)。

区分 平均に使う基準(支払基礎日数)
一般の被保険者 17日以上の月で平均(17日未満の月は除外)
パート(社会保険加入者) 3か月とも17日未満なら、15日以上の月で平均
短時間被保険者(特定適用事業所) 11日以上の月で平均

たとえば月給制の人が、5月だけ欠勤で支払基礎日数が17日未満だった場合は、5月を外して4月と6月の2か月で平均します。すべての対象月が基準日数に満たないときは、原則として従前の標準報酬月額を用います。

次に、平均に含める「報酬」の範囲です。基本給だけでなく、各種手当や現物給与も含むのが原則で、ここを取り違えると金額が大きくずれます。

報酬に含む(〇) 含まない(×)
基本給・役付手当・職務手当 年3回以下の賞与(→賞与支払届で別途)
残業手当・通勤手当・住宅手当・家族手当 退職金・解雇予告手当
年4回以上支給される賞与 慶弔見舞金・大入袋など恩恵的なもの
食事・社宅などの現物給与 出張旅費・交際費(実費弁償)

とくに見落としやすいのが、通勤手当(数か月分の定期代をまとめて支給した場合は1か月分に換算)と、社宅や食事といった現物給与です。これらも報酬に含めて計算する必要があります。

随時改定・育休後改定との違い

標準報酬月額が見直されるのは、年に一度の定時決定(算定基礎届)だけではありません。年の途中で給与が大きく変わったときには、随時改定(月額変更届)という別の手続きで見直します。両者の違いを押さえておきましょう。

観点 定時決定(算定基礎届) 随時改定(月額変更届)
タイミング 毎年7月(年1回) 給与が大きく変わった都度
きっかけ 7月1日時点で在籍していること 昇給・降給など固定的賃金の変動
主な要件 4〜6月の平均(17日以上の月) 変動後3か月とも17日以上+従前と2等級以上の差
反映時期 その年9月分から 変動から4か月目から

このほか、産前産後休業・育児休業から復帰して時短勤務などで給与が下がった場合には、休業等終了時改定という制度で、随時改定の2等級要件を満たさなくても標準報酬月額を下げられる場合があります。復職後の保険料負担にかかわるため、対象者がいる場合は忘れずに検討しましょう。

つまずきやすい4つのポイント

1:残業の多い4〜6月で、保険料が1年間高くなる
4〜6月にたまたま残業が集中すると、その高い水準で1年間の保険料が決まってしまいます。業務の性質上、毎年この時期だけ著しく報酬が高くなる場合などは、年間平均で算定する特例(保険者算定)を申し立てられることがあります。

2:通勤手当・現物給与を入れ忘れる
通勤手当や、社宅・食事などの現物給与も報酬に含めます。「基本給だけ」で計算すると金額がずれ、後の調査で指摘される原因になります。

3:支払基礎日数17日未満の月を平均に入れてしまう
欠勤などで17日未満になった月は、平均から除外します。除外を忘れると標準報酬月額が実態より低くなり、これも誤りのもとです。

4:年4回以上の賞与を賞与扱いのままにする
賞与でも年4回以上支給されるものは「報酬」として月額に含めます。年3回以下なら賞与支払届で別に処理します。回数の数え方を取り違えないようにしましょう。

提出方法と、社労士に任せるという選択

算定基礎届は、電子申請(e-Gov)・郵送・窓口持参のいずれかで、年金事務所(健康保険組合に加入している場合は組合にも)へ提出します。日本年金機構からは、対象者があらかじめ印字された用紙が事前に送られてくるのが一般的です。

手続き自体は毎年のことですが、報酬の集計や支払基礎日数の確認、随時改定との切り分けなど、細かな判断が必要な場面は少なくありません。給与計算や入退社の手続きとあわせて、社会保険の手続きをまるごとアウトソーシングすれば、こうした年次手続きの抜け漏れや判断ミスを防げます。ミライズ労務でも、労働保険・社会保険の手続きアウトソーシングとして、算定基礎届を含む年間の手続きを継続的にお引き受けしています。

SUMMARY
4〜6月で、1年分の保険料が決まる

算定基礎届は、4〜6月の報酬から標準報酬月額を決め直す定時決定の手続きで、令和8年度の提出期間は2026年7月1日〜7月10日。決まった額はその年9月から翌年8月までの保険料、そして将来の年金額にも反映されます。

支払基礎日数17日のルール、通勤手当・現物給与の取り扱い、随時改定との違い――この3点を押さえれば大きな誤りは防げます。同じ7月10日締切の労働保険の年度更新と混同しないこともポイントです。

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※本記事は一般的な情報提供であり、個別の取扱いは内容により異なります。支払基礎日数や報酬の範囲、保険者算定の要件などの運用は、最新の日本年金機構・各健康保険組合の案内をご確認ください。詳細はお問い合わせください。

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