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2026.06.25 労務管理

年次有給休暇の年5日取得義務|対象者・カウント方法・管理を社労士が解説

COLUMN / 労務管理

「有給休暇は、従業員が請求してきたら与えるもの」――かつてはそれで足りました。しかし2019年4月からは、年10日以上の有給休暇が与えられる従業員について、会社が年5日を確実に取得させることが義務になっています。取得が進まない従業員がいれば、会社の側から時季を指定してでも取らせなければなりません。「本人が取りたがらない」は通用せず、達成できなければ罰則の対象にもなります。

本記事では、年次有給休暇の年5日取得義務について、対象者・5日のカウント方法・会社がとるべき対応・管理のしかたを、社会保険労務士の視点で整理します。

この記事の要点
  • 2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される従業員には、年5日を取得させることが会社の義務になった。
  • 対象は管理監督者やパートも含む(年10日以上付与される人)。基準日から1年以内に5日を確実に取得させる。
  • 本人の請求・計画年休・会社の時季指定で取得した日を5日にカウント。足りない人には会社が時季を指定して取らせる。
  • 年次有給休暇管理簿の作成・保存が必要。違反は従業員1人あたり30万円以下の罰金の対象。
目次
  1. 00年5日取得義務とは(2019年4月から)
  2. 01対象になるのは誰か
  3. 02「5日」のカウント方法
  4. 03足りないときは「会社の時季指定」
  5. 04年次有給休暇管理簿と罰則
  6. 05実務のコツ(基準日の統一・計画的付与)

年5日取得義務とは(2019年4月から)

年次有給休暇は、雇入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に、まず10日が付与されます。その後は勤続年数に応じて加算され、最大で年20日になります。

勤続年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年〜
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

従来、これらの有休は「従業員が請求した時季に与える」のが基本でした。ところが取得率が低い状況が続いたため、働き方改革により2019年4月から、年10日以上付与される従業員には、会社が年5日を確実に取得させる義務が課されました。本人任せにせず、会社が取得状況を管理する責任を負う、という大きな転換です。

対象になるのは誰か

年5日取得義務の対象は、その年に10日以上の年次有給休暇が付与される従業員です。ここで見落としやすいのが、対象の広さです。

正社員はもちろん、管理監督者も対象です(管理監督者は残業代の対象外ですが、有休の年5日義務は対象)。
パート・アルバイトも、勤続と所定労働日数によって年10日以上付与される人は対象になります。
・逆に、比例付与で年10日未満しか付与されない人は、年5日義務の対象外です。

「管理職だから」「パートだから」と除外して考えるのは誤りです。付与日数が10日以上かどうかだけで判断します。

「5日」のカウント方法

年5日は、付与日(基準日)から1年以内に取得させます。この5日には、次の取得分を合算してカウントできます。

5日にカウントできる(〇) カウントできない(×)
従業員が自分で請求して取得した日 時間単位で取得した年休(時間年休)
計画的付与(計画年休)で取得した日 法定外の特別休暇(慶弔休暇など)
会社が時季指定して取得させた日(半日年休は0.5日) 欠勤や産休・育休など

つまり、すでに本人が3日取得していれば、会社が確実にあと2日取らせれば義務を果たせます。半日単位の年休は0.5日として数えますが、時間単位の年休は5日にはカウントできない点に注意してください。

足りないときは「会社の時季指定」

基準日から1年が経とうとしているのに取得が5日に満たない――そんな従業員には、会社が時季を指定して有休を取得させます。これを「使用者の時季指定」といいます。

時季指定のポイント
時季を指定する際は、あらかじめ本人の意見を聴き、できる限り希望に沿うよう努める必要があります。また、時季指定を行うには、その旨を就業規則に定めておくことが必要です。「期末になって慌てて指定」とならないよう、半年経過時点などで取得状況を点検し、早めに声かけするのが理想です。

年次有給休暇管理簿と罰則

年5日義務とあわせて、年次有給休暇管理簿の作成・保存も義務づけられています。従業員ごとに「時季(取得日)・日数・基準日」を記録し、3年間保存します。賃金台帳などとあわせて様式を整えておくとよいでしょう。

違反すると罰則も
年5日を取得させられなかった場合、従業員1人につき30万円以下の罰金の対象になり得ます(労働基準法120条)。対象者が複数いれば、その人数分が問題になります。「うっかり管理漏れ」が、そのまま法令違反につながりかねません。

実務のコツ(基準日の統一・計画的付与)

入社日がバラバラだと、従業員ごとに基準日が異なり、管理が煩雑になります。実務では、次のような工夫で管理を楽にできます。

これらの仕組みは、就業規則や労使協定の整備と一体です。自社に合った有休管理の形を整えたい場合は、就業規則の作成・見直しや、勤怠・有休を含む労務手続きのアウトソーシングからご一緒できます。

SUMMARY
「取らせる」のは、会社の責任

年10日以上の有休が付与される従業員には、基準日から1年以内に年5日を取得させるのが会社の義務です。対象は管理監督者やパートも含み、本人の請求・計画年休・会社の時季指定で取得した日を5日にカウントします。

足りなければ会社が時季を指定し、年次有給休暇管理簿で記録(3年保存)。違反は1人あたり30万円以下の罰金の対象です。基準日の統一や計画的付与で、管理を仕組み化しておきましょう。

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