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2026.06.25 給与・賃金

最低賃金への対応|中小企業が毎年10月に確認すべきことを社労士が解説

COLUMN / 給与・賃金

毎年10月ごろになると、ニュースで「最低賃金が引き上げ」と報じられます。近年は上昇幅が大きく、全国の加重平均はすでに時給1,000円を超えました。最低賃金はすべての労働者に適用される“賃金の下限”で、これを下回る賃金は、たとえ本人が同意していても無効になります。気づかないうちに割り込んでいた、ということがないよう、毎年の確認が欠かせません。

本記事では、最低賃金の基本(2種類あること)、最低賃金に算入する賃金・しない賃金、自社が満たしているかの確認方法、引き上げに使える助成金まで、中小企業が押さえるべきポイントを社会保険労務士の視点で整理します。

この記事の要点
  • 最低賃金は時給で定められる賃金の下限。毎年10月ごろに改定され、下回る賃金は無効(最低賃金額まで引き上げられる)。
  • 地域別最低賃金(都道府県ごと)と特定(産業別)最低賃金があり、両方かかる場合は高いほうが適用される。
  • 比較に使うのは基本的な賃金。残業・休日・深夜の割増、賞与、通勤・家族・精皆勤手当などは除いて判定する。
  • 月給制は月平均所定労働時間で時給に換算して確認。引き上げには業務改善助成金などの活用も。
目次
  1. 00最低賃金とは(毎年10月改定)
  2. 012種類ある(地域別・特定)
  3. 02最低賃金に「含む賃金・含まない賃金」
  4. 03満たしているかの確認方法(時給・月給)
  5. 04引き上げへの対応と使える助成金
  6. 05毎年のチェックポイント

最低賃金とは(毎年10月改定)

最低賃金とは、最低賃金法に基づき、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額(時給)です。パート・アルバイトを含むすべての労働者に適用され、これを下回る賃金で雇うことはできません。仮に最低賃金未満の金額で合意していても、その部分は無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされます

地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会の示す目安をもとに各都道府県の審議会が決定し、毎年10月ごろに改定(発効)されます。近年は引き上げ幅が大きいため、「去年は足りていたが、改定で割り込んでいた」という事態が起こりやすくなっています。改定の時期には、必ず自社の賃金を点検しましょう。

2種類ある(地域別・特定)

最低賃金には、大きく2つの種類があります。

地域別最低賃金
都道府県ごとに定められ、その地域のすべての労働者・使用者に適用される。最も基本となるもので、毎年10月ごろに改定される。

特定(産業別)最低賃金
特定の産業について、地域別より高い水準で設定されることがある。鉄鋼・自動車小売など、対象は都道府県ごとに異なる。

両方かかるときは「高いほう」
地域別と特定(産業別)の両方が適用される場合は、金額の高いほうを支払う必要があります。自社の業種が特定最低賃金の対象になっていないか、あわせて確認しましょう。

最低賃金に「含む賃金・含まない賃金」

最低賃金を満たしているかどうかは、支給している賃金のすべてで比べるわけではありません。比較に使うのは「毎月支払われる基本的な賃金」で、次のようなものは除いて判定します。

含めて比較する(〇) 除いて比較する(×)
基本給・職務手当など、毎月決まって支払われる賃金 残業・休日・深夜の割増賃金
  賞与など1か月を超える期間ごとに支払う賃金
  通勤手当・家族手当・精皆勤手当

つまり、通勤手当や家族手当、残業代を足せば最低賃金を超えていても、それらを除いた基本的な賃金で下回っていれば違反です。手当を厚くして基本給を抑えている場合などは、とくに注意が必要です。

満たしているかの確認方法(時給・月給)

最低賃金は時給で定められているため、自社の賃金を時給に換算して比較します。雇用形態ごとの換算方法は次のとおりです。

賃金形態 時給への換算
時給制 時給 ≥ 最低賃金額(そのまま比較)
日給制 日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≥ 最低賃金額
月給制 月給(対象分)÷ 月平均所定労働時間 ≥ 最低賃金額

月給制の場合に分母として使う「月平均所定労働時間」は、残業代の時間単価と同じ考え方の数字です。その求め方は月平均所定労働日数の求め方でくわしく解説しています。あわせて、割増賃金の計算は残業代(割増賃金)の計算方法もご覧ください。

引き上げへの対応と使える助成金

最低賃金の上昇は、人件費の増加に直結します。とはいえ、賃上げは採用・定着の面ではプラスにも働きます。前向きに対応するために、賃上げを支援する助成金の活用も検討しましょう。

たとえば、事業場内の最低賃金を引き上げつつ生産性向上のための設備投資などを行った場合に活用できる業務改善助成金があります。「どうせ上げるなら、設備投資や仕組み化とセットで」と捉え、計画的に進めるのがポイントです。助成金は計画してから実行するのが原則で、後から遡って申請はできないため、賃上げの前に活用できるかを確認しておくと有利です。

毎年のチェックポイント

最低賃金への対応は、毎年のルーティンにしてしまうのが確実です。改定時期に次の点を点検しましょう。

賃金の点検や規程の見直し、賃上げと助成金を組み合わせた設計は、まとめて進めると効率的です。給与計算のアウトソーシングや賃金設計のご相談もお気軽にどうぞ。

SUMMARY
毎年10月、時給換算で点検する

最低賃金は賃金の下限で、毎年10月ごろに改定されます。地域別と特定(産業別)があり、両方かかるなら高いほう。比較は割増・賞与・通勤/家族/精皆勤手当を除いた基本的な賃金で行い、月給制は月平均所定労働時間で時給換算して判定します。

上昇が続くいま、改定のたびに最も賃金の低い人を点検するのが確実です。引き上げには業務改善助成金などの活用も。割り込みは無効・罰則の対象になるため、毎年のルーティンにしておきましょう。

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※最低賃金額は毎年改定され、都道府県・産業により異なります。最新の金額・発効日は厚生労働省および各都道府県労働局の公表内容を必ずご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の取扱いはお問い合わせください。

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