2026年の労務・社会保険 法改正まとめ|中小企業がやるべき対応を社労士が解説
労務や社会保険のルールは、毎年のように改正されています。とくに2025年から2026年にかけては、育児・介護の両立支援の大幅な強化、雇用保険の新しい給付、そして子ども・子育て支援金の徴収開始など、中小企業の実務に直接かかわる変更が続きます。「気づかないうちに対応が義務になっていた」という事態を避けるため、いま押さえておきたい主な改正を一覧で整理します。
本記事は全体像をつかむための“地図”です。自社に関係しそうな項目が見つかったら、施行時期と詳細を早めに確認しておきましょう。
- ✓育児・介護休業法が2025年に段階的に改正。子の看護等休暇の拡大、残業免除の対象拡大、そして「柔軟な働き方の措置」の義務化など、就業規則の見直しが必要になる。
- ✓雇用保険に「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付」が新設。育休・時短を支える給付が手厚くなった。
- ✓子ども・子育て支援金が2026年度から医療保険料に上乗せして徴収開始。労使の保険料負担に影響する。
- ✓このほか社会保険の適用拡大・労働条件明示ルール・フリーランス新法・最低賃金など、近年の改正もあわせて点検を。
2026年に向けた改正の全体像
まずは、近年の主な改正を時系列で俯瞰してみましょう。一つひとつは別々の制度ですが、「育児・介護との両立支援の強化」と「社会保険の負担・対象の見直し」という2つの大きな流れがあると捉えると整理しやすくなります。
| 時期 | 主な改正 |
|---|---|
| 2024年4月 | 労働条件明示ルールの追加(就業場所・業務の変更範囲ほか) |
| 2024年10月 | 社会保険の適用拡大(短時間労働者・51人以上規模へ) |
| 2024年11月 | フリーランス新法の施行 |
| 2025年4月 | 育児・介護休業法の改正(第1段階)/雇用保険の新給付/高年齢雇用継続給付の縮小 |
| 2025年10月 | 育児・介護休業法の改正(第2段階・柔軟な働き方の措置) |
| 2026年度 | 子ども・子育て支援金の徴収開始(医療保険料に上乗せ) |
育児・介護休業法の改正(2025年4月・10月)
今回の改正のなかで、もっとも実務対応が必要なのが育児・介護休業法です。多くの項目で就業規則(育児・介護休業規程)の見直しや、社内周知の手続きが求められます。2025年4月と10月の2段階で施行されました。
2025年4月施行(第1段階)の主なポイント
2025年10月施行(第2段階)の主なポイント
雇用保険の新しい給付
育児との両立を支えるため、2025年4月から雇用保険に2つの新しい給付が設けられました。従業員から問い合わせを受ける場面も増えるため、会社としても概要を押さえておきたいところです。
これらの給付は、育休からの復帰や時短勤務の設計を、従業員にとってより選びやすいものにします。自社の両立支援制度とあわせて案内できると、採用・定着の面でもプラスに働きます。
子ども・子育て支援金の徴収スタート(2026年度〜)
少子化対策の財源として創設された子ども・子育て支援金が、2026年度から医療保険料に上乗せする形で徴収されます。協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険などの加入者が広く対象となり、制度開始後は段階的に引き上げられていく見込みです。
会社にとっては、社会保険料の計算・控除の実務に影響する変更です。給与計算ソフトや料率設定の更新が必要になるため、施行時期に合わせて漏れなく反映できるよう準備しておきましょう。具体的な負担額は加入する医療保険や年度によって異なるため、最新の案内を確認することをおすすめします。
あわせて点検したい近年の改正
ここ数年で施行され、いまも対応の見直しが必要な改正もまとめておきます。「対応したつもり」で抜けが残っていないか、この機会に点検してみてください。
| 改正 | 中小企業がチェックすべきこと |
|---|---|
| 社会保険の適用拡大 | 短時間労働者の加入対象が51人以上規模へ拡大。今後さらに企業規模要件を見直す方向の議論も。パート従業員の加入要否を確認。 |
| 労働条件明示ルール | 就業場所・業務の「変更の範囲」、有期契約の更新上限、無期転換の申込機会などを明示。雇用契約書のひな形を更新済みか確認。 |
| フリーランス新法 | 業務委託の取引条件を書面等で明示、報酬の支払期日、ハラスメント対策など。外注・業務委託を使う会社は対応を。 |
| 最低賃金の改定 | 毎年10月ごろに改定され、近年は上昇が続く。改定額は地域・年度で異なるため、最低賃金を下回る人がいないか毎年確認。 |
労働条件の明示ルールは、雇用契約書そのものの作り直しにかかわります。基本を確認したい方は雇用契約書・就業規則・労使協定の基本の記事もあわせてご覧ください。
中小企業がいま着手すべきこと
改正の数は多いですが、中小企業がまず手をつけるべきことは絞れます。次の4点を“宿題リスト”として点検してみてください。
「どれが自社に関係するのか分からない」という場合は、現状をもとに必要な対応を洗い出すところからご一緒できます。法改正への対応は、就業規則の見直しや日々の手続きとあわせて進めると効率的です。
2025〜2026年の改正は、育児・介護休業法の段階的強化と雇用保険の新給付、そして子ども・子育て支援金の徴収開始が中心です。とくに育児・介護休業法は、就業規則の見直しと社内周知まで対応が必要になります。
改正は毎年続きます。施行時期・金額は変わり得るため最新情報の確認は欠かせませんが、まずは本記事の“宿題リスト”で自社の対応状況を点検することから始めてみてください。
名古屋を拠点に、就業規則の見直しから日々の手続きまで、中小企業の労務を継続的にサポートしています。「どの改正が自社に関係するのか」の洗い出しからご一緒できます。初回相談は無料です。
※本記事は、執筆時点で公表されている情報をもとにした一般的な解説です。制度の施行時期・金額・対象範囲は政省令や年度の見直しにより変わる場合があります。実際の対応にあたっては、必ず厚生労働省・日本年金機構など公式の最新情報をご確認いただくか、お問い合わせください。